てれってれー、とCore MIDI/Core Audioの資料とサンプルを見ながら試行錯誤してた所、意外と簡単にSMFプレーヤが出来てしまいました。Core MIDIの日本語資料は殆ど見かけないので、備忘録兼これからCore MIDI触んべよ!という方の手助けになればと、分かった事を記します。
お約束ですが、本記事内容の正確性については保証致し兼ねます(何分、拙い読解力で英文資料を読んでいる為)。また、本記事の内容により生じた損害等の責任は、一切負い兼ねますので悪しからずご了承下さい。間違い等を発見されましたら、容赦なくツッコんで頂けると幸いです。
下の図はMac OS XのMIDIアーキテクチャを示したものです。
色々と描いてありますが、ここでは「MIDI Server」と「MIDI Client + アプリケーション」にだけ着目します。
まず「MIDI Server」ですが、その名の通りMac OS XのMIDIサービスを統括・提供するものです。OS X上で扱うMIDIデータは須く、MIDI Serverを通る事になります。システムに接続されているMIDIデバイスの管理の役割も担います。
次に「MIDI Client + アプリケーション」です。アプリケーションは……まぁ説明不要でしょう。MIDI Clientは、アプリケーションがMIDI ServerとMIDIデータのやり取りを行うためのオブジェクトです。逆に言えば、OS XでMIDIを扱うアプリを作ろうとすれば、何らかの形でMIDI Clientのお世話になります。
上の図で、MIDI Clientがアプリ内部にある方は、アプリケーションが明示的にMIDI Clientを生成し利用している様子を、MIdI Clientがアプリの外側にある方は、アプリ内部ではより上位のMIDI APIを利用するなどして直接MIDI Clientを使ってはいないものの、上位APIの下ではMIDI Clientが動いている様子を、それぞれ表しています。
続いてMIDI Client部分の詳細を見て行きます。
それぞれ、下層のオブジェクトが上に載っているオブジェクトを含む、という構造になっています。つまり、Channel 1〜16はMIDI Endpointが持ち、MIDI EndpointはMIDI Portが持ち……という具合です。
MIDI規格では、1本のMIDIケーブルで最大16チャンネル(パート)の情報を伝送出来ますが、このケーブルに当たるのが図中のMIDI Endpointです。ケーブルというよりも、DIN5ピンのMIDI端子の仮想表現と言った方がいいかもしれません。MIDI Endpointは1つに付き16チャンネルのMIDIデータを扱え、プログラム中ではMIDI Endpointをインタフェースとして、MIDIデータのやり取りを行います。
MIDI Endopointは、システムに存在するMIDIポート(MIDI端子という意味でのMIDIポート。後述するMIDI Portとは別物)を割り当てなければなりません。この際、ポートのデータ方向(入力なのか出力なのか)を問わず、自由に割り当てることが出来ます。
MIDI Portは同一データ方向のMIDI Endpointを束ねる役割を持ちます。データ方向毎にMIDI Portを生成し、そこにデータ方向が同じMIDI Endpointを登録します。基本的には、入力用のMIDI Portと出力用のMIDI Portを1つずつ用意し、MIDI Endpointを登録することになります。
ですが、必ずしも入出力両方を用意する必要はなく、入力か出力で最低1つのMIDI PortがあればOKです。また、同一方向のMIDI Portをいくつか生成し、それぞれのMIDI Portに自由にMIDI Endpointを登録しても問題ないようです。1)
1つのMIDI PortはMIDI Endpointをいくつでも持つ事が出来ます。従って上図の構成では、入力として16チャンネル、出力として16 x 3 = 48チャンネル持っている事になります。
MIDI Clientは、MIDI ServerとMIDIデータをやり取りするために、MIDIアプリケーションの土台となるもので、アプリケーション毎に必ず1つは必要です。一応、同一アプリケーション内で2つ以上のMIDI Clientを生成し、それぞれでMIDI Portを作るという事も可能なようです。2)
他にもMIDI Entityという概念があったりしますが、これは存在意義と使い方がよく分からないので、割愛します。資料によれば「MIDI Driverによって定義される、MIDIデバイスの機能の論理的グループ表現」との事なので、挙動はMIDI Driverごとに違うものと思われます。
長くなってきたので、以下に参考文献を示して、続きは次回にします。