第51回 FreeBSD勉強会「FreeBSD 10.3R / 11.0 新機能紹介」に参加してきた。
折角東京にいるんだし、前々から参加したいと思ってはいたものの、今までのは内容に付いて行けなさそうだったので見合わせていた。そんなこんなで、今回ようやく参加するに至った次第。
FreeBSD勉強会はもちろんのこと、こういう勉強会に参加するのは生まれて初め・・・そういえば大昔にCocoa勉強会に参加した事があったので、人生2回目ではあるが不安だらけ。無事会場にたどり着けるのか?とか、会場ビルに入れるのか?とか色々心配してしまう。同じような不安を抱えている人の助けになればと、詳しく記事にしてみる。
あえて書くほどでもないが…。
いずれも必須ではない。ただし、開催回によっては書籍の輪読会だったり、実際に手を動かしながら何かするという事もあるので、開催概要をよく読むこと。
今回、自分はメモ帳しか持って行かなかった。デジカメ持って行こうと思いつつ忘れ、ノートPCは会場で他の人が出してるのを見て「あ、そういえば」と思ったという…
麹町のKDDIウェブコミュニケーションズ社の会議室。
路線の関係で四ツ谷駅から徒歩で向かったが、「徒歩11分」の表記通りわりと歩いた。少しくらい乗り換えが面倒でも、できるだけ麹町駅/半蔵門駅から向かったほうが良いだろう。
住友不動産麹町ビル3号館についたら、玄関入って正面にエレベータがあるので、そのまま6Fへ。エレベータを降りてすぐ受付があるので、会費を払っていざ入場。
内容を一言でまとめると、リリースノート読め。
煽りでもなんでもなく、リリースノートの各変更点には関連リビジョンへのリンクが張ってあり、文章を読んでもよく分からない場合はソースのdiffを見るのが一番との事。「YYコマンドでXXオプションに対応」と記載されていても、実はオプションスイッチを受け付けるようになっただけで、ソースの当該箇所には「将来実装予定」と書いてる事がままあるそうなので、やっぱりソースを見るのが確実だそうだ。
今回の変更点に挙げられているxz
コマンドがまさにそのパターンで、スレッド指定の-T
オプションの中身が実装され、真のマルチスレッド対応になったのだとか。意外とテキトーなんだなーと思ったw
様々な新機能、変更点、加えて脱線話があった中で、個人的に興味深かったのがreroot
とFreeBSDのブランド戦略について。
reboot -r
とすると、稼働中のシステムをカーネル読み込み直後の状態から再起動することができる。ハードウェアの初期化、ブートローダの起動、カーネルの読み込みなどのブート時の諸々の手順をすっ飛ばせる分、(かなり)高速にシステムをリセットできる。複数のサービスに変更を加え1つ1つ手作業で再起動するのが面倒な時や、起動順番が重要なサービスを再開させる時などに威力を発揮しそう、と参加者の方が仰っていた。
論より証拠ってなもんで、通常の再起動とrerootによる再起動の比較動画を作った。左側がただのreboot
で右側がreboot -r
で、笑っちゃうほどと言うか最早笑う暇すらもないほどrerootが圧倒的に早い。rerootマジヤバい。
rerootについて、リリースノートではThe initial implementation of “reroot” support has been added to the reboot(8) utility, allowing the root filesystem to be mounted from a temporary source filesystem without requiring a full system reboot. r293744
と書かれているので、本来は一時的にルートFSを切り替えたい場合に使う事を想定した機能なのかな?カーネル環境変数vfs.root.mountfrom
でrerootに使うFSを指定できるようだし。
尚、カーネルそのものは変わらないので、freebsd-update
などでカーネル更新した場合は従来通り再起動が必要とのこと。
再起動なしにカーネルすらも置き換える仕組みとして、KloadなるものがBSDCan 2012で発表されてはいるが、今のところメインの開発ラインに取り込まれてはいないそうだ。
最近、BSD関連の国際会議では、FreeBSDのマーケティングやブランディングの話が増えてきているそうな。
Free/Net/OpenのメジャーBSD三兄弟の中で、OpenBSDは猛烈な勢いでシェアを獲得しつつあるそうだ。知る人ぞ知るOpenBSDの強烈な姿勢が「セキュリティならOpenBSD」というブランドを確立させ、それがシェアの拡大に寄与しているとのこと。近年は国内でもOpenBSDの商用サポートを行う製品も増えてたり、BSDな学生もOpenBSD使いが圧倒的なんだとか。
対する我らがFreeBSDのブランドはというと、何でもこなせるけどそれが仇になってて目玉がない(いわゆる器用貧乏状態)とか、“Free”って名前が良くない(何がFreeなんや?金払っちゃいかんのか?)とか、マスコットが悪魔なのが悪いんじゃないか?などなど議論されているらしいw
で、改めてFreeBSDの推し機能は何なのか?となると、ZFSとbhyveがそうなってくるんじゃなかろうか、というのが総意に至らずとも概ねの雰囲気だそうで。
確かにFreeBSDってブランド力ないなーと思う。堅牢性が高い、大手サイトのサーバに採用されていると言った宣伝がなされはするものの、一体何年前から同じ事言ってんだって感じだし、現実問題、Linuxが栄華を極めている訳だし…。BSD使いを宣言しようものなら「えーマジBSD!?」「BSDが許されるのは小学生までだよねー」と言われんばかりで、BSD使いへの迫害は日々激しさを増すばかりな訳ですよ。
個人的には、ディストリビューションの興隆・衰退に振り回されずに済む、知識の連続性と蓄積が容易い、というのがFreeBSDの最大のメリットだと思う。この辺は人それぞれだろうけど、良いところは積極的に宣伝していかないと、どんなに良いものでも意味が無いからなー。
後藤さんも仰ってたが、こういう話が開発者の中でも出て来たというのは、良い傾向だと思う。というわけで、今後のFreeBSDのマーケティングに期待。あ、ちなみに後藤さんはマジナイスガイでした。
勉強会と聞くとちょっと堅苦しい感じもするが、どちらかといえば交流会に近い感じかなと。とはいっても、それほど交流交流してるわけでもなく、何とも不思議な空間だった。なんせ、受付でも、勉強会後の酒インストール会でも自己紹介等はなく、お互いがお互いを知らない状態で話してるんだからねw こち亀のネタ「アオいいよね」「いい…」の雰囲気に近いんじゃないかと思ったww
これからは継続的に参加したいと思う。
次回はFreeBSDのドキュメント翻訳ツールの使い方の解説なので、実環境があった方が捗りそう。