うちの自宅サーバにはPCIe x4のU.2 SSDが2台搭載されている。U.2 (SFF-8639)→PCIe x4のライザーカードを使い、それぞれPCIe x8スロットに挿しているため、貴重なPCIeリンクが無駄になっている。PCIe bifurcationを使うと1スロットに集約し有効活用できそうなので試してみた。
PCIe bifurcation1)とは、1つの大きなPCI Expressリンクを複数の小さなリンクへと分割し、それぞれ独立したPCI Expressリンクとして扱う機能である。例えばPCIe x16のスロットなら、PCIe x8を2リンク、あるいはPCIe x4を4リンクといったような分割が可能だ。
要するに、PCIeバイファーケーションを使うと、1つの物理PCIeスロットに複数のPCIeデバイスを接続して使え、貴重なPCIeリンクを無駄なく使えるというわけ。
PCIeバイファーケーションを有効にするには、マザボとBIOSが対応している必要があるが、BIOS設定で分割パターンを選ぶだけ。加えて、当然だけど分割されたPCIeリンクを引き出すライザーカードなりが必要。
なかなかにキワドイ機能なので(とはいえマザボのオンボードデバイスの接続では普通に使われてたりするんだけど)、ライザーカードの入手性は良くない。国内でふつーに流通しているものは、M.2 SSD増設向けの3製品しかなさげ(2020年9月現在)
海外通販で買えそうなのは↓このへん。
PCIeスロットそのものを生やす系はeBayであさったり、下記あたりを個人輸入するしかなさそう。(※リンク先の店の信頼性や安全性は分かりません。)
最近では、(いささか下火になってきてはいるけど)マイニングブームのおかげかAmazonでも怪しげなライザー、ケーブル類が多数売られており入手性もだいぶ良くなった(2022-03-24現在)
マザーボード | SuperMicro X10DRi, X10SRL-F | |
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SSD | SAMSUNG PM983 ×2台 | PCIe 3.0 x4接続のU.2 SSD |
ライザーカード | CEACENT ANU22PE08 | PCIe 3.0 x8を2つのMini-SAS HD (SFF-8643)に変換 |
PCIe x8をMini-SAS HD×2個に変換するライザーカードはANU22PE08を使った。Mini-SAS HD→U.2のケーブル2本付きでeBayで6000円程だった。コロナの影響で到着まで3か月ほどかかったが、届いただけマシか。
この手のライザーカードの割には、カードの自体の造りもパッケージも良くてビックリ。国内代理店が流通してる拡張カード類より、よっぽどいい出来じゃないかと思う。
ライザーカードの機能としては、PCIe x8のカードエッジから2つのPCIe x4信号を取り出しMini-SAS HDに振り分けてるだけなので、ブリッジチップのようなものもなく至ってシンプルだ。
ライザーカードをマザボのPCIe x8スロットに装着し、BIOSでスロットのPCIe bifurcations設定を「x4x4」にする。X10DRiの設定項目は Advanced→Chipset Configuration→North Bridge→IIO Configuration→IIO0 Configuration にある。
x16スロットだとx8x4x4やx4x4x8といった変則的な分割も可能っぽい。
間違った設定をしても(たぶん)デバイスが壊れることはなく、片方のSSDが見えなかったりするだけなので対象スロット含め試行錯誤してもよいだろう。