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RAIDZプールに追加したスペシャルvdevは削除できない

OpenZFS 2.1.4時点で、冗長性レベルを問わずRAID-Zプールに追加したスペシャルvdevを削除することは出来ないようだ。恐らく、トップレベルvdev削除の制限に起因する仕様と思われる。

次のようなRAID-Z1とスペシャルvdevから成るプールがあるとする。

# zpool status ztank
  pool: ztank
 state: ONLINE
config:

        NAME        STATE     READ WRITE CKSUM
        zdata       ONLINE       0     0     0
          raidz1-0  ONLINE       0     0     0
            da1     ONLINE       0     0     0
            da2     ONLINE       0     0     0
            da3     ONLINE       0     0     0
        special
          mirror-1  ONLINE       0     0     0
            da4     ONLINE       0     0     0
            da5     ONLINE       0     0     0

errors: No known data errors

ここで、スペシャルvdevを削除しようとzpool removeすると、次のようにエラーとなる。

# zpool remove ztank mirror-1
cannot remove mirror-1: invalid config; all top-level vdevs must have the same sector size and not be raidz.

トップレベルvdevのmirror-1を一気に削除するのがマズいのかと思い、次のように構成メンバを個別に削除してってもダメ。

# zpool detach ztank da5
# zpool remove ztank da4
cannot remove .....

なお、RAIDZ以外の構成なら特に制限なく削除可能で、同じトップレベルvdevであるslogやL2ARCの場合は、RAIDZでも(以前から)削除可能である。

家鯖でスペシャルvdevを本格運用すべく色々準備してたけど、削除できないのはちょっと厳しいなぁ…VMであらかじめ実験しといて良かったぜ……slog/L2ARCは削除できるんだから、将来的にできるようになるのかなぁ………スペシャルvdevの場合、明示的に本体プールの方にデータを書き戻す必要があって難しいのかなぁ…………

当面はpL2ARCを使うとするかー。

Special vdevが消失したプールとzpool -Fオプション

プールのメタデータを丸っと引き受けるというZFSのSpecial vdevの特性から、対応する物理デバイスの故障などでSpecial vdevが死ぬと、プールそのものが使えなくなりそうってのは容易に想像ができる。

実際どうなるか仮想マシンベースで確認してみると、やはり使えなくなった。それもzpool listの結果にプール自体が出てこなくなるという、割と重篤な扱い。プール名を指定 or プール探索でインポートしようとすると、以下のようになってインポートできない。

# zpool import -a -N
cannot import 'ztest': I/O error
        Destroy and re-create the pool from
        a backup source.

存在しないプールのインポートではcannot import 'znotexists': no such pool availableって感じなので、明らかに扱いが違う。

Special vdevが消失したプールの復旧は基本的に無理っぽい感じ。

一応man zpool-importを見てみると、(いつの間にか)プール回復に関するオプション-F, -X, -Tが追加されていた。それぞれの効果を抄訳してみた。

-F インポート不可能なプールのための回復モード。最後のわずかなトランザクションを破棄することで、プールがインポート可能状態への復帰を試みます。このオプションを使うことで、損傷を受けたすべてのプールが回復するとは限りません。成功した場合、破棄されたトランザクションに関連するデータは、回復不能なほどに失われます。プールがインポート可能またはインポート済みの場合、このオプションは無視されます。
-n 回復オプション(-F)と共に使用します。インポート不可能なプールが再びインポート可能になるかどうかを判定しますが、実際にプール回復は行いません。プール回復モードの詳細は、上記の-Fオプションをご覧ください。
-X 回復オプション(-F)と共に使用します。有効なtxgを見つけるための非常手段を取るか否かを指定します。これは、もはや一貫性が保証されていないtxgへ、プールがロールバックされることを許可します。矛盾したtxgでインポートされたプールは修復不能なチェックサムエラーを含むかもしれません。プール回復モードの詳細は、上記の-Fオプションをご覧ください。警告:このオプションはプールの健全性に対し極めて危険な可能性があり、最終手段として用いるべきです。
-T ロールバックに使用するtxgを指定します。暗黙的に-FXオプションを含みます。プール回復モードの詳細は、上記の-Xオプションをご覧ください。警告:このオプションはプールの健全性に対し極めて危険な可能性があり、最終手段として用いるべきです。

-F < -X < -Tの順で強力(危険)になる雰囲気。で、それぞれを指定して、先のSpecial vdevが無くなったプールのインポートを試みたのが以下。

# zpool import -F ztest
cannot import 'ztest': I/O error
        Destroy and re-create the pool from
        a backup source.

# zpool import -FX ztest
cannot import 'ztest': one or more devices is currently unavailable

# zpool import -T ztest
invalid txg value
usage:
        import [-d dir] [-D]
        import [-o mntopts] [-o property=value] ...
            [-d dir | -c cachefile] [-D] [-l] [-f] [-m] [-N] [-R root] [-F [-n]] -a
        import [-o mntopts] [-o property=value] ...
            [-d dir | -c cachefile] [-D] [-l] [-f] [-m] [-N] [-R root] [-F [-n]]
            [--rewind-to-checkpoint] <pool | id> [newpool]

-Tはtxgを指定してやらないとダメな予感。usageにもmanにもそれらしいことは書いてないんだけど…実際にどんな値を指定したらいいのか皆目見当もつかない。

その後、Special vdev用の仮想ディスクを戻してみると、問題なくプールのインポートができた。ただし自動インポートはされず、手動で行う必要があるようだ。(上記の-Fとかでプールを操作したためかもしれないが未確認。)scrubで健全性に問題がないことも確認。

そんなわけでSpecial vdevの冗長性には十分気を付ける必要がありそうだ。

ZFSのSpecial vdevを試してみる

階層化ストレージのZFS版ともいえるSpecial vdevとSpecial Allocation Classについて、1年程前に当サイトでも解説した。いつか試そうと思いつつ延び延びになっていたが、いよいよ導入の機運が高まってきたので簡単にテストした。

まずはコマンドの確認から。以下、da0p1をノーマルvdev(プール本体のストレージ)、da6p1をスペシャルvdevとする。

スペシャルvdev付きプールを作る。vdevタイプとしてspecialを指定し、その後にスペシャルvdevに割り当てるデバイスを指定する。

# zpool create -O atime=off ztest da0p1 special da6p1
$ zpool status ztest
  pool: ztest
 state: ONLINE
config:

        NAME        STATE     READ WRITE CKSUM
        ztest       ONLINE       0     0     0
          da0p1     ONLINE       0     0     0
        special
          da6p1     ONLINE       0     0     0

既存のプールにスペシャルvdevを追加する場合はzpool addで同様に指定する。

# zpool add ztest special da6p1

スペシャルvdevの削除。これはL2ARCやslogの削除なんかと一緒。

# sudo zpool remove ztest da6p1

OpenZFS 2.1.4の時点において、RAIDZプールに追加したスペシャルvdevは削除できないので注意!!(トップレベルvdev削除の制限事項)。

スペシャルvdevデバイスの増減(zpool attach/detach)は可能だが、いざzpool removeしようとするとinvalid config; all top-level vdevs must have the same sector size and not be raidz.エラーとなり削除できない。

slogやL2ARCは削除できるのにどうして……

ただし、remove後にスペシャルvdevからノーマルvdevへ、データの退避が行われる。

$ zpool status ztest
  pool: ztest
 state: ONLINE
remove: Evacuation of /dev/da6p1 in progress since Wed Feb 23 16:50:17 2022
    2.77G copied out of 13.5G at 142M/s, 20.54% done, 0h1m to go
config:

        NAME        STATE     READ WRITE CKSUM
        ztest       ONLINE       0     0     0
          da0p1     ONLINE       0     0     0
        special
          da6p1     ONLINE       0     0     0

$ zpool iostat -v ztest
              capacity     operations     bandwidth
pool        alloc   free   read  write   read  write
----------  -----  -----  -----  -----  -----  -----
ztest       14.4G  9.13T     16     68   215M   220M
  da0p1      932M  9.09T      0     68      0   220M
special         -      -      -      -      -      -
  da6p1     13.5G  36.0G     16      0   215M      0
----------  -----  -----  -----  -----  -----  -----

退避が完了するとプールからデバイスが除去される。

$ zpool status ztest
  pool: ztest
 state: ONLINE
remove: Removal of vdev 1 copied 13.5G in 0h1m, completed on Wed Feb 23 16:51:31 2022
    27.4K memory used for removed device mappings
config:

        NAME          STATE     READ WRITE CKSUM
        ztest         ONLINE       0     0     0
          da0p1       ONLINE       0     0     0

スペシャルvdevは標準でメタデータのみを格納する設定となっている。小ブロックデータの格納を有効にするには、ファイルシステム毎のプロパティspecial_small_blocksを0以外の2の冪数に設定する。

# zfs set special_small_blocks=64k ztest/R/pictures
$ zfs get -r special_small_blocks ztest
NAME              PROPERTY              VALUE                 SOURCE
ztest             special_small_blocks  0                     default
ztest/R           special_small_blocks  0                     default
ztest/R/pictures  special_small_blocks  64K                   local

スペシャルvdevが使われてるかどうかはzpool iostat -vで確認できる。書き込み中に見てみると、しっかりスペシャルvdevも使われていることがわかる。

              capacity     operations     bandwidth
pool        alloc   free   read  write   read  write
----------  -----  -----  -----  -----  -----  -----
ztest       11.7G  9.13T      0  1.36K      0   213M
  da0p1     11.4G  9.08T      0    215      0   207M
special         -      -      -      -      -      -
  da6p1      277M  49.2G      0  1.15K      0  6.22M
----------  -----  -----  -----  -----  -----  -----

スペシャルvdevの有無、special_small_blocksのサイズ、レコードサイズの違いで簡単にテストを行う。

  • テストデータ
    • 72208ファイル、10.3GiB(平均ファイルサイズ:150KiB)
    • Special vdevの効果が出やすいであろう、大量の小サイズの画像ファイル群
  • テストマシン
    • OS: FreeBSD 13.0-RELEASE-p6 on Proxmox VE 7.1
    • CPU: 4 vCPU (Xeon E5-2680v4. オーバーコミットなし)
    • RAM: 32GB
    • HDD:
      • コピー元: 単体 (仮想ディスク50GB/実態はU.2 SSD)
      • コピー先: 単体 (10TB 7200RPM SATA HDD×1)

コピー先のプールのスペシャルvdevの有無によって、以下の項目を測定する。

  • コピー元→コピー先へのファイルコピー所要時間(rsync -aX src dst/
  • コピー先でファイルの全走査にかかる時間(find dst > /dev/null
  • コピー先でファイルの全読込にかかる時間(find dst -print0 | xargs -0 cat

ARCの影響を避けるため、プールは都度作成し、rsync後はマシンを再起動する。その後、ファイル走査→全読込の順で実行する。

仮想マシン上での実行のため、結果にはノイズが多く含まれていることに注意。

recsize special_small_blocks コピー時間(秒) ファイル走査時間(秒) ファイル読込時間(秒) スペシャルvdev使用量(MiB) 備考
128k - 284 17.8 539 - Special vdevなし
0 281 2.5 493 319 メタデータのみSpecial vdevを利用
4k - - - 320 sdev容量のみ測定
8k - - - 321
16k - - - 322
32k - - - 336
64k 279 2.6 433 684
128k 280 2.8 203 13824 全データがSpecial vdevに行く
1M - 280 17.6 400 - Special vdevなし
0 285 2.5 358 34
4k - - - 35 sdev容量のみ測定
8k - - - 36
16k - - - 37
32k - - - 52
64k 274 2.7 352 400
128k 276 2.8 286 3102

※special_small_blocks=4k~32kは後から測定したため、スペシャルvdevの容量のみ。グラフには加えていない。1MBずつ増えてて本当かよ?と思ったが、再度試しても同じだったので間違ってるわけではなさそう。

スペシャルvdevの有無でファイルコピー(書き込み。赤線)時間に有意な差は見られなかった。ただし、これはコピー元の読み込みで律速してる可能性が否定できない。コピー先の書き込み状況をiostatを眺めてみると間欠動作となっていた。

ファイルの全走査はスペシャルvdevがあると劇的に高速化されるようだ。iostatを見てみると、スペシャルvdevで読み込み処理が走っており、SSD上のメタデータが使わているものと思われる。期待通りの挙動ですな。

ファイルの全読込も、スペシャルvdevに保存されているデータ量に応じて短縮されており、こちらも想定通り。recsize=128kでspecial_small_blocks=128kとすると、全データがスペシャルvdevに保存されるというのも期待通りの結果だった(special_small_blocksで指定されたサイズ以下のレコードのデータがスペシャルvdevに保存される仕様。)iostatを見てみると、見事に全てスペシャルvdevに書き込まれていることが分かる。

              capacity     operations     bandwidth
pool        alloc   free   read  write   read  write
----------  -----  -----  -----  -----  -----  -----
ztest       13.2G  9.13T      0  2.21K      0   236M
  da0p1         0  9.09T      0      3      0  15.2K
special         -      -      -      -      -      -
  da6p1     13.2G  36.3G      0  2.20K      0   235M
----------  -----  -----  -----  -----  -----  -----

少し意外だったのは、special_small_blocksが0、すなわちメタデータのみをスペシャルvdevに保存した場合でも、ファイル読込性能が向上したという点。今回は小さな大量のファイルが対象だったため、読込み処理におけるメタデータの処理割合が多かったのが要因だろう。

また、スペシャルvdevと直接は関係ないが、レコードサイズでメタデータサイズが大きく変化するというのは新たな発見だった。全くの推測だが、おそらくレコードごとに生成されるチェックサムの総量が影響しているのだろう。10.3GiBを128kiBレコードで割ると約84000レコードで、それぞれにfletcher4(4バイト)のチェックサムが付くと、合計330MiBとなる。同様に1MiBレコードでは41MiBとなり、これらはメタデータのみをスペシャルvdevに保存した際の容量とおおむね一致する。

さらに1MiBレコードではファイル読込が明らかに速くなっており、圧縮率の観点等も考慮すると積極的に128KiB以上のレコードサイズを使っていくのが良さそう。

special_small_blocksの設定をどうするかは悩ましいところ。扱うデータの種類やワークフローはもとより、TXG関連の設定やその時々の負荷量などで、書き込みがスペシャルvdev行きとなるかどうかが変わってくると思われ、見積もるのが難しい。今回は64k/128kの2パターンしか見なかったが、運用においては、より小さな設定値も検討に値するだろう。むしろ、とりあえず4kあたりから始めて様子を見るのがいいのかもしれない。 → 気になったので4k~32kを追試したけど、32k以下は殆ど効果がなさそう。スペシャルvdevの運用としては、容量が見積もりやすいメタデータのみとするか、ある程度余裕を持たせて64kで始めるの2択になるかも。

メタデータだけでもスペシャルvdevの効果は期待できそうなので、SSDに余裕があるならL2ARCよりも優先的に割り当てて良さそうに思う。

ZFS圧縮のLZ4とZStandardを簡易比較(zstdがよさげ)

ZFSerの皆様におかれましては、OpenZFS 2.0で圧縮アルゴリズムにZStandardが追加されたのは周知の事実だろう。compressionの値としてzstd-Nzstd-fast-Nが指定できるようになったが、設定値と圧縮率の関係性は以下のとおり。

(速度重視)←   設定値   →(圧縮重視)
zstd-fast-1000 ~ zstd-fast-1 / zstd-1 ~ zstd-19

zstdzstd-fastで数値の関係性が逆転しているように見えるが(というか設定値上はそういう風にしか見えないのだが)、zstd-fastの方は負数を表しており、-1000が最小でスーパー速度重視ということなので一貫性が取れている。

ZStandardはLZ4より圧縮率が高く、それに応じて処理負荷も若干高いとされている。実際のところどんなものか、簡易的にテストした。

個人的にアーカイブ用途に使いたいので、圧縮率重視ってことでzstdのみが対象。だいぶてきとーな実験なので、あくまで傾向を掴むもの程度で見て欲しい。

ZFSの主要開発者の1人、Allan Judeによる真っ当なベンチマークも参照されたし。

テスト環境は以下のとおり。

  • テストデータ
    • 12675ファイル、503GiB(平均ファイルサイズ:40.6MiB)
    • OS・アプリのISOイメージ、zip、インストーラexe、Macのdmg、appバンドルなど圧縮が効きにくいデータが多数
  • テストマシン
    • OS: FreeBSD 13.0-RELEASE-p6 on Proxmox VE 7.1
    • CPU: 4 vCPU (Xeon E5-2680v4. オーバーコミットなし)
    • RAM: 64GB
    • HDD:
      • コピー元: RAID-Z2 (16TB 7200RPM SATA HDD×5)
      • コピー先: 単体 (10TB 7200RPM SATA HDD×1)

テストデータをコピー元のRAID-Z2プールから、テスト用のコピー先プールにrsyncでコピーする。cpじゃなくてrsyncなのは、終了時に転送速度を表示してくれて便利だからってだけで、他意はない。

圧縮アルゴリズム別のファイルシステムを作ってはコピーしての繰り返しで、途中プールの作り直しやファイルシステム削除はしてないので、HDDの外周/内周の転送速度差がテストに影響していることに注意。

加えて、仮想マシン上での実行だったり、テスト中もファイルサーバとして普通にアクセスしたり(といっても負荷をかけないよう自粛はしたけど)と、結果には様々なノイズが混入している点にも注意。

各圧縮方法ごとの圧縮後容量、圧縮率(無圧縮時を100%とした時の割合)、転送速度を下表にまとめる。

パターン 圧縮方法 容量(GiB) 圧縮率(%) 速度(MiB/s) 備考
1 lz4 483.6 96.3 115.8
2 zstd-3 477.3 95.0 115.0 数値なしのzstdを指定した場合に使われる値
3 zstd-7 476.5 94.8 111.0
ここで2~3を削除
4 zstd-15 476.3 94.8 100.4
5 zstd-19 475.3 94.6 24.5
6 gzip-9 478.8 95.3 71.6
7 zstd-3 477.3 95.0 112.0 HDDの外周/内周の影響確認用
8 lz4 483.6 96.3 109.4
9 off 502.4 100.0 108.9 無圧縮。基準値

パターン1~3実行後、一応、HDDの内外周差を気にしてパターン1,2のデータは削除している。

パターン9が基準値。無圧縮で最内周に書き込んでいるので、これより遅いかどうかで、圧縮処理がボトルネックになっているかの目安になるかなと。書き込み先がHDD 1台のプールなので、そこで律速されてる感があるけど、まぁ実際の使われ方に近い環境ってことで大目に見てください。

グラフで表したのが下図。

まず言えることはzstd-3のバランスの良さ。LZ4と遜色ない速度にもかかわらず、圧縮率は有意に高い。さすが、compress=zstdとした時に使われるレベルだけある。gzip-9より縮むのに大分速いってのは特筆すべき。

圧縮率最重視のzstd-19が当然ながら最も縮むが、速度が大分厳しい感じ。少なくとも今回のテストデータでは、処理時間に見合うだけの効果が得られているとは言い難い。仮に最新CPUで速度が10倍になったとしても、250MB/s程度でボトルネックとなる可能性が高く使いどころが難しそう。費用対効果が高いのはzstd-7、状況によってはzstd-15もなくはないかな。

ついでに、圧縮はrecordsizeが大きいほど効果的とされているので、その影響も軽く測定。

LZ4とZStandardのそれぞれで、レコードサイズを512kから1Mに変更した時の圧縮後容量の差分を求めたのが下表。

圧縮方法 recsize 圧縮後容量(MiB) 128kとの差分(MiB) 無圧縮容量に占める削減割合
lz4 128k 495251.3 - -
512k 495145.0 -106.3 -0.02%
1M 495251.4 +0.1 +0.00%
zstd-7 128k 490354.9 - -
512k 488842.4 -1512.5 -0.29%
1M 487907.2 -2447.7 -0.48%

なぜかLZ4のレコードサイズ1MBの時は圧縮率が下がってるけど、概ねレコードサイズが大きくなるほど圧縮率も向上するようだ。割合で見ると微々たるものだが、レコードサイズを変えるだけで恩恵が得られるのはありがたい。実のところ、レコードサイズを大きくすると実データに占めるメタデータ割合(ハッシュの量)が減り、プール容量的にはこちらの影響の方が大きかったりする(参考:ZFSのSpecial vdevを試してみる

とりあえず、互換性を気にしなくていい環境では、lz4の代わりに積極的にzstdを使っていくのが良さそう。可能な限りrecordsizeも大きくしていこう(ただし、FreeBSDはレコードサイズが128k超のファイルシステムからブート出来ない点には注意が必要。)

空き容量0でZFSが壊れた?Input/Output errorが発生→再起動で直った

不注意でProxmox VEのZFSプールを使い切り、空き容量がゼロという状態になってしまった。すべてのデータセットのAVAILが0という本物のゼロである。VMのディスクがthinで図らずもオーバーコミット状態となっており、VM内で物理容量以上のファイルコピーを行ってしまったのが原因。当然ながらVMは固まるわ、PVEもWebコンソールから何もできないわで超焦った…。

幸い物理コンソールは生きていたので、不要なZVOLを消して事なきを得たと思いきや、ファイル操作をするとInput/output errorが起きるようになってしまった。

root@myserver:/etc/pve/nodes/myserver/qemu-server# touch test
touch: cannot touch 'test': Input/output error

ファイル/ディレクトリの作成、削除がダメ。既存ファイルの読み込みは問題なさそうで、書き込み系がダメっぽい。それもすべての場所でダメというわけではなく、ルートディレクトリ直下は大丈夫だったりする。同じデータセットなのに。

もちろんzpool scrubでエラーが出ないことは確認済み。というわけで実に厄介というかヤバい状況なのであーる。どうすんのこれ…

関係しそうなバグチケ報告もあるにはある。

が、ほとんど関係ない気がしなくもない。うちはサイレントじゃないし。実は静かに壊れてて今回ので発現した可能性もあるが、ほんの数日前にVM追加してるしちょっと考えにくい。FreeBSDの方では何だかんだ10年ほどZFSを使っているが、データが壊れたのはそれなりに原因が分かっている2回しかない(1回目2回目)。

容量ゼロをトリガーにLinux側とZFS側で何らかの齟齬が発生し、容量の回復がLinux側に伝わってないとかが原因なら再起動で直りそうなものの、シャットダウンしたが最後、完全に壊れてPVEが立ち上がらなくなる可能性もありそうで恐ろしい。この記事も書いているメイン環境は、そのPVE上で動いているのでPVEの死=メイン環境の死なので慎重にならざるを得ない。


(2021-11-24 追記)

意を決してPVEマシンを再起動してみたら、Input/output errorは出なくなった。何事もなかったようにVMも動いている。

ZFSではCoWの関係上、一般的に空き容量がプール容量の10~20%1)を切ると危険水域とされている。予めプール全体にquotaをかけておけば、今回のようなヤベェ自体は予防できるだろう。


1)
昨今の2桁テラバイト級のプールなら5%程度でも良さそうだが
  • start.txt
  • 最終更新: 2019-08-19 11:45
  • by Decomo